他人のために何かしてあげて、相手から感謝されるのって嬉しいですよね。「〜してくれてありがとう」「あなたのおかげで助かりました」。そうした言葉をもらえると、誰でも自然と笑顔になります。
ただ、相手のためにと思ってした行為が、毎回感謝されるとは限りません。注意したいのは、そんな時に「どうして感謝しないの!?私はあなたのためにやったのに!ムキーッ!」という感情が出てきていないか?ということです。
こういう感情が出てきている時、それは実は相手のためではなく、自分のためにやっていたと気づけるとどんどん人生が生きやすくなります。今回は、「その行為、相手のためにと装って自分のためにやっていませんか?」というテーマで話をしていきます。
感謝をもらえず怒りが出てきたことが意味するもの
「相手のためにと何かをしたのに感謝がもらえなくて感情が動いた」これは誰にでも思い当たることかもしれません。「あなたのためにやったのに感謝の一つもないなんて酷い!!」とか「感謝の言葉をもらえなくてなんか悲しい」そんな場合です。
ただ、冷静に考えてみれば「相手のためにやる」という行為は、「助けてあげたい」とか「笑顔にしたい」という純粋な気持ちを起点にしているものです。なので、自分が関わったことで相手が笑顔になったり、状況がよくなれば、それだけで目的は達成されるので自分も嬉しい気持ちになるはずです。
けれど、感謝をもらえず嫌な感情が出てくるということは、「助けてあげたい、笑顔にしたい」という純粋な気持ちではなく、「相手に感謝してもらえるはず」という勝手な期待からの行為、つまり「その言葉が欲しくて自分のためにやっていた」という見返りを求めていたことになります。
相手のためを装って実は自分のためにやっている代表的な具体例
これを理解しておかないと、やった側は「何であなたは感謝しないの!?酷い!」と怒り始めます。しかしやってもらった側からすると、「いやいや、そもそも頼んでないですよね。あなたが勝手にやったんですよね」となりますから、感謝を要求してくる相手が横暴に見えてしまいます。
子育てや仕事でのサポート、という場面で、こうしたことはよく起こります。
例えば、子供ができていないのを親が見兼ねて我慢できずに親が良かれと思ってやってしまうこと。それは、我が子が周りから「できない」と思われて自分が恥をかくのを嫌がったり、早く自分が楽になりたい、安心したいなどといった怖れをベースにした行動です。だから、子どもためを装っているだけで、実は自分のためにやっています。
また、助けを求められてはいないけど、中間管理職が心配だった部下のサポートをしたけど、部下が感謝もしなかったので叱りつける。これは中間管理職の方が、上司から怒られないように、お客様からクレームをもらわないようにと、自分のために部下をサポートしています。部下からしたら「いやいや、サポートしてませんよね」となりますし、本来サポートによって部下が助かったなら、お客様が満足したのなら、それで満足するはずです。
必ず「自分がやりたいからやる」を起点にしていくといい
ここまで読んできて、じゃあどうすればいいのかということですが、私たちは、他人を手伝ったり他人のために何かをする時には、必ず「自分がやりたいからやる」を起点にしていくといいです。
純粋な「やりたい」からやっていたら、たとえ相手に感謝されなくても、自分がやりたくてやってるから幸せだし、感謝されたら「やりたいからやっただけなのに感謝までされた!こっちこそありがとう!」と嬉しさが増えますから。
そんな風に生きていると、毎日ストレスの無い生活を送れるようになっていきます。
他人から感謝されなくて感情が動いた時は、自分の心を内観してみることが非常に有効
また、人は無意識のうちに「あ、この人は見返り求めてるな」というのを見抜いています。だから他人から感謝されなくて感情が動いた時は、自分の心を内観してみることが非常に有効です。
内観すると、「ああ、自分は感謝されたかったんだな」とか「これをしたら喜ばれるはずって相手に勝手に期待してたな」とかが見えてきます。
自分が相手にこういう反応をくれるんじゃないか?こういう反応が欲しい、と勝手に期待して、その期待通りの反応をもらえなかった時に、怒りが湧いたり、イライラしてたんだなと気づくことができます。そしてそれに気づくと、スッと心が楽になります。
だから私たちは常に、自分が相手に勝手に期待していないか、感謝してもらいたいとか尊敬されたいとか、相手から何かを欲しいと思って自分がしていないかを心に問うことが大事です。
見返りや相手に期待して行動している人の典型的な口癖
他人に見返りを求めたり期待をして行動している人に共通する典型的な口癖があります。それは、
普通は●●するでしょう!?
●●は常識でしょ!?
というものです。これは、どういうことかというと、「普通は●●」も「●●は常識」も全部その人独自のルールです。その人が、「守らないと酷い目に合う、守るべきだ!」と勝手に思い込んでいるルールです。
そんな自分ルールで相手を縛り、相手に自分ルールを勝手に押し付けて反応を期待しているわけですから、そのルールを押し付けられた相手は苦しいですし、期待した反応を得られなかった本人も苦しくなります。
自分も相手も縛ろうとする自分ルールを少しずつ手放すことができれば、驚くほど生きやすくなります。自分ルールを手放せると、自分ルールの範囲外のことが段々と受け入れられるようになってきますから、自分にも人にも、それぞれの生き方に◎ができるようになります。人に優しくなれます。人に寛容になれます。心が穏やかになります。
私たちは、それぞれが自由に生きていいんです。
まとめ
さて、今回は「その行為、相手のためにと装って自分のためにやっていませんか?」というテーマで話を進めてきました。
・感謝がなくて怒りが出てきたら、それは自分が相手に見返りを求めていたということ
・「やりたいからやる」を起点に行動すると感謝の有無に関係なく幸せを感じられる
・感情が動いた時には自分の心を内観して、本音に気づくと気持ちが楽になる
ということがポイントでした。
自分を不自由にさせている自分ルールを手放していく&「やりたいからやる」という純粋な気持ちから行動することを日々大切にすることで、毎日を一層心穏やかに過ごせていけたら最高ですよね。